着床前診断に賭けたい夫婦の想い

着床前診断に賭けたい夫婦の想い

先日採卵した胚盤胞6個のPGT-A(着床前診断)検査結果が出た。

6個のうち4つは染色体に異常があるとのことで、移植できる胚盤胞は2個とのこと。

ジェネティックカウンセラーの話ではこの数字は平均を少し下回るとのことで、不妊に悩む人たちを分母とした平均値より低いという事実に少し胸が痛い私。私が作る卵の質はおそらく一般的な基準から見て悪いって事が言えるわけだし、過去の流産についてもある程度納得がいく。というか、そうだと思いたい。原因不明不妊である以上、体外受精にしてもPGT-Aにしてもやっている意味みたいなのが欲しい時がある。

ちなみにグレードの方は両方とも3BCで、ミトスコア (mitoscore)という胚のエナジー状態を見る数値は18と50(1〜80までの数字で低い方が良いとのこと) 。これは着床率に関わってくるという数字らしく25以下の数字の胚の妊娠率は85.2%だそう、やったー!

さて、結果から先にお話しましたが、PGT-Aって一体なんだっけという説明とメリットデメリットを備忘録程度にまとめておきましょう。PGT-Aとは簡単にいうと採卵後に受精、培養された卵に染色体異常がないか検査するテストのことです。

方法としては胚盤胞になった卵の将来胎盤になる部分の細胞を採取して検査します。残念ながら卵の質がどれだけ悪いかなどの詳しい事はわからないけれど、ダウン症や13トリソミー、18トリソミーなどの疾病がないか移植する前に調べることができます。流産の確率も検査をパスした胚盤胞たちは移植後の流産、死産の可能性が12%と自然妊娠での流産率(約15%)や着床診断なし体外受精(18%)に比べて低く、まさに現代の医学で最も流産を避ける方法の一つであると言えると思います。無駄に移植と流産を繰り返すよりも金銭的、身体的、精神的に負担が軽くなるのがPGT-Aの最大のメリットと言えます。

という一方で、デメリットももちろんある。

一つにはお金がかかるということ。私たちの場合は胚盤胞6個の検査+胚盤胞の移送料としてCAD $1.870,00 (約16万3千円)ほどかかりました。もう一つはPGT-Aは命の選別であるという、デメリットというか倫理的視点からの問題。いくら染色体の本数が多い/少ないからといってまだ受精して間もない胚盤胞。検査段階では正常胚と認められなくても、今後の成長で正常胚になっていくかもしれない卵たちを破棄するようなことは命を軽んじているという考え方もできます。実際に日本では倫理的ではないとして着床診断は一定の条件を満たした患者さんにのみ提供される検査となっています。

そんな賛否両論を生むPGT-Aですが、私たち夫婦はこの検査を行ったことを後悔はしていません(きっぱり)。仮説ではあるけれど、私たちの受精卵は染色体異常を起こす可能性が高いということがわかって、たとえそれがはっきりした原因だと断言できなくても、原因不明不妊というモヤモヤが少し晴れた気がしたのでした。

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