流産だって出産なんだ。2

流産だって出産なんだ。2

翌日朝8時のアポイントメント。

その日は朝4時に起きてそれから寝られなかった。何かソワソワすると言うか今思うとそれまで毎日感じていた赤ちゃんと一緒みたいなときめきが感じられなかったような気がする。病院に行く頃になってお腹が痛いような気がして来たけれど、ぎっくり腰の疼きがお腹の痛みに感じるのかどうなのかという感じではっきりしない。

旦那さんは仕事を休んで一緒に来てくれて、さらには病院側も今回は複雑な英語が出て来るだろうから通訳としてアポに同行できる許可を出してくれた。昨日感じた子宮入り口あたりのズキンとした痛みからチャンスは50:50だろうなと覚悟をし始めていたけれど、もし流産ならその時は1人よりは2人の方が絶対に良い。

超音波は昨日の簡易的なお腹だけのものとは違い、お腹+子宮内からの2種類の超音波で診てもらう。けど、超音波のテクニシャンは昨日と同様に必要な事以外は何も言ってくれないし、今回はモニターを見せてもくれず、結果は別病棟にある早期妊婦さん専門のクリニックに送られ、そこで改めて診察という流れだった。

クリニックに移動して名前を呼ばれる頃には朝感じていたお腹の痛みも、腰の痛みも若干和らいで、赤ちゃんは大丈夫だと勝手に思い込む私。旦那さんとも来週から仕事に戻って良いかとか、今後は無理しないようにしようねとか、これからの妊娠生活についての話ばっかりしていた。だもんだから、診察室で看護婦さんに色々聞かれた問診の流れで「今回赤ちゃんの心音は確認できませんでした」ってサラッと言われた時は「え、いま何なんて言った?」と一瞬ポカンとしたけれど、その言葉の意味を脳が情報処理をしているのと同時に身体の方はもう声をあげて泣いていた。

それでも、心と体の動きのちぐはぐぶりには自分でも驚くほどで、泣いてる最中でも脳の方ではそうか、流産か。それならこれからの諸々の段取りについてまずは仕事先に電話して、次に今週詰まってるその他のアポのキャンセル、助産師と鍼の先生にも連絡して…いや、腰のことを考えると鍼はキャンセルじゃなくてリスケか。いつ行けるんだろう。なんてことをサササーっと考えていた。

一方で私たちに向けられた看護師さんの言葉も一字一句ちゃんと覚えている。繰り返される「本当に残念だけど…」の言葉と、流産では常套句の早期流産は珍しいことではない&染色体の問題によるところが多いから自分を責める必要はないという様な定型文。そして最後にこれからどのように妊娠が終わって行くのかの説明もしっかり頭に入ってきて、じゃあ今日のご飯は作れないなとか、お腹に貼るためのホッカイロはまだストックあったかなと頭が回る回る。

看護師さんは薬を使って子宮の中の内容物(もはやbabyの文言も使われることはなくなった…)を綺麗に出すことを強く強く推奨。この薬というのがmisoprostolという錠剤で一粒そこそこの大きさの割にこれを4錠、自分で子宮のできる限り奥まで入れて子宮の収縮を促すというものだった。副作用としては重い生理痛と出血。場合によっては身体の震えや発熱もするのだそう。なので服用後は痛み止めを飲んで安静にするという説明だったけれど、これで終わりじゃなくて、この工程2回繰り返せという指示だった。前回の流産では緊急で運ばれた病院に超音波の機械がなく、妊娠週も6週かというところだったから、諸検査が始まる前に自然排出で完全流産だったけれど、今回は8週まで妊娠が進んだので出てくる内容も少し違うのだろう。つまり、内容物が子宮に止まる恐れがあることを危惧して薬を勧められているのだ。自然排出はいつ排出が始まるかわからないので予定が立たないけど、時間があるならその手段もあるわねと言われたので、心の中で自然排出を固く決意し、薬の方は一応処方してもらって病院を去る。

家路につく間もつつーっと涙は出るけど、どうにかなるほどの気持ちとか悲しいとか、憎いとか嫉みという気持ちよりはガッカリだったり何ていうか…もう疲れたな。って気持ちが明らかに勝っていた。また流産を経験することになるとはついてないなーとか、早まって来年の年賀状用に写真を撮ろうとか提案しなきゃよかったなーとかに始まって、極め付けはまた訪れる妊活への絶望感。前回の流産から今回の妊娠まで大体6ヶ月だから最低でも大体向こう6ヶ月はまた妊活生活かー、不妊クリニックには自然妊娠したから流産2度目とはいえまた放置されるんだろうなー、血液検査も超音波もまたやり直しか。ああもう面倒くさい、仕事に、学業に妊活に本当にうんざり。

本当にうんざり。

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